中小建設のExcel地獄を解決した話

「このファイル、触らないでください」
——ある建設会社で最初に言われた言葉が、これでした。

総務の方が血相を変えて飛んできて、「そのExcel、私しかわからないので触らないでください」と。

画面を見ると、数百行に渡る工事台帳。セルの色分けが10色以上。マクロが組んであるらしいけど、誰もその中身を知らない。その方が有給を取るたびに、事務所全体がざわついていました。

笑い話に聞こえるかもしれません。でも、業界で15年いろんな会社を見てきた自分にとっては、「あるある」でしかないんです。

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目次

中小建設会社のリアルな「Excel地獄」

建設業界にいると、至る所でExcelの”怪物ファイル”に出会います。

原価管理のExcelは、もはやアート作品

工事番号、工事名、請負金額、外注費、材料費、労務費……これだけでもシンプルに作れそうなのに、気づいたら別シートに飛ぶリンクが張り巡らされ、「このセルだけは絶対に消さないで」という注意書きが赤字で書かれている。

ある会社では、原価管理のExcelが「Ver.23」まで存在していました。誰かが更新するたびにコピーして別名保存してきた歴史の積み重ね。どれが最新かわからなくなって、古いデータで社長に報告してしまった——という事故も実際に起きていました。

工程表も、地味に厄介

ガントチャートをExcelで手作りしている会社は、今でも多いです。セルを結合して色を塗って、日付が変わるたびに手で修正する。工期が延びれば全部ずらす。雨で工程が変われば、現場から連絡が来て、事務の人が修正する。

「先週の工程表、まだ直してないの?」
「すみません、現場から連絡来るのが遅くて……」

この会話を、何度聞いたかわかりません。

そして、請求書

Excelで請求書を作って、PDF化して、メールで送る。この流れ自体は悪くありません。でも問題は、「どこに保存したか」「送ったかどうか」「入金確認はしたか」がバラバラに管理されていること。

請求書はデスクトップに保存。入金確認は通帳のコピーをファイリング。督促が必要かどうかは、担当者の頭の中。

「あの工事の入金、まだだっけ?」という会話が、月末に必ず起きます。

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転機は「工程管理の現場」で感じた違和感だった

自分は現場監督をしていたわけではありません。ただ、親会社側の立場で工程管理には長く携わってきました。

下請けの工事業者さんとのやり取りを通じて、工事の進捗を追いかけ、スケジュールを調整し、原価を管理する。その過程で、嫌というほど見てきたのが「Excelに追われる人たち」の姿でした。

月末になると、各工事の原価実績を一つひとつExcelから拾い上げて、別の集計表にコピペする。これだけで2〜3時間。しかも貼り間違えると原価がおかしくなる。確認作業でさらに1時間。

下請け業者さんの側でも同じことが起きていました。日報の入力、工程表の更新、請求書の作成——どこの会社も同じようなExcel作業に時間を取られている。現場の仕事が終わってから事務所でパソコンに向かって、気づいたら21時。そういう話を、何度も聞いてきました。

「この作業、絶対に自動化できるはずだ」

そう思ってVBAを独学で勉強し始めたのが、自分にとっての「業務自動化」との出会いでした。

最初に作ったのは、シンプルなマクロ。各工事シートのデータを集計シートに自動で引っ張ってくるだけのもの。でも、これだけで毎月3時間の作業が5分になりました。

それを見た下請け業者さんから、「うちでも同じようなことできませんか?」と相談されるようになった。実際にExcelを見せてもらうと、やっぱり同じような「地獄」が広がっている。ファイルの整理から手をつけて、繰り返し作業をマクロ化して、少しずつ仕組みを整えていく。

月20時間以上 ある会社では、原価管理・日報入力・月次集計の自動化で
月の残業がこれだけ削減されました

小さな改善の積み重ねが、思った以上に大きな変化を生んだ瞬間でした。

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「自動化」は特別なことじゃない

ここで伝えたいことがあります。

業務自動化というと、「AIを使う」「システムを入れ替える」「ITに強い人が必要」というイメージを持つ方が多いです。

でも実際に中小建設会社で効果があるのは、もっと地味なことだったりします。

  1. 今あるExcelを整理する バラバラに存在しているファイルを棚卸しして、「本当に必要なファイルはどれか」を整理する。それだけで、情報の迷子はかなり減ります。ある会社では、工事ごとにフォルダを統一して命名規則を決めただけで「あのファイルどこ?」という問い合わせが激減しました。
  2. VBAで繰り返し作業をマクロ化する コピペ、転記、集計。こういった「同じ作業を毎回やっている」ものは、VBAで自動化できることが多いです。プログラミングの知識がなくても、基本的なマクロなら記録機能で作れます。
  3. Googleフォーム+スプレッドシートで入力を一元化する 現場からスマホで日報を入力して、スプレッドシートに自動蓄積される仕組みを作る。これだけで「事務所に戻ってから入力する」という二度手間がなくなります。初期費用はほぼゼロです。
  4. Notionや簡易ツールで工程・進捗を見える化する Excelのガントチャートをやめて、クラウドツールに移行する。現場からスマホで進捗を更新できるようになると、工程表の修正作業が大幅に減ります。

どれも「最新技術」ではありません。でも、中小建設会社の現場では、これだけで十分に劇的な変化が起きます。

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「わかってるけど、できない」の正体

「自動化した方がいいのはわかってる。でも時間がなくて……」

これは本当によく聞く言葉です。

でも、少し立ち止まって考えてみてほしいんです。

時間がないのは、自動化されていないからじゃないか、と。

目の前の繰り返し作業に追われて、その作業を減らすための時間が取れない。これは「忙しい罠」で、建設業界の中小企業では本当によく起きている構造的な問題です。

もう一つあります。「自分たちには難しそう」という思い込み。

でも、自分が関わった会社のほとんどは、ITに詳しい人なんていませんでした。社長は現場上がりで、事務員は20年ベテランのアナログ派。それでも、正しい順番で整理していけば、必ず改善できます。

大事なのは「完璧なシステムを作ること」じゃなくて、「今一番時間がかかっている作業を一つ減らすこと」

それだけでいい。まずそこから始めればいいと思っています。

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15年で見えてきた「変わる会社」と「変わらない会社」の違い

✅ 変わる会社の共通点

「やってみよう」と動く人間が、一人いること。

社長じゃなくていい。現場監督でも、事務員でも。「これ、もっと楽にできないかな」と思って動く人間が一人いると、その会社は変わっていきます。

❌ 変わらない会社の共通点

「うちは特殊だから」と言うこと。

建設業の仕事は確かに一件一件違う。でも、業務プロセスは特殊じゃない。見積→受注→施工管理→原価管理→請求→入金確認。このフローはどの会社もほぼ同じです。

「うちの仕事は複雑だから、システムじゃ対応できない」

そう言う会社ほど、Excelが複雑怪奇になっていることが多い。これは15年見てきて、はっきりと感じていることです。

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あなたの会社のExcelを、一緒に整理しませんか

業務自動化の顧問、はじめました

今、中小建設・不動産会社向けに動き始めています。

大げさなシステム導入の話ではありません。

今あるExcel、今やっている業務フロー、今困っていること。
それを一緒に棚卸しして、「何から手をつければ一番楽になるか」を整理するところから始めます。

親会社側で工程管理に携わり、たくさんの工事業者さんと仕事をしてきました。現場の事情も、管理する側の事情も、両方知っている。だからこそ、現場の言葉で話ができると思っています。

ITコンサルでも、システム会社でもありません。業界の中にいる人間が、同じ目線で一緒に考えます。

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この記事を書いた人

建築・不動産系の経営ガバナンス管理をしています。
1人工の作業の効率化、作業の質を向上させたいという思いで
自部署や関係会社の業務改善をしてきました◎

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